テントはキャンプをするときの重要な野外住居です。また、キャンプではテントを中心にテントサイト(テント周り)をレイアウトし、活動の拠点をつくります。そのため、雨風をしのぐだけでなく安全・快適に過ごすためには、条件の良い安全な場所に正しくテントを組み立て、そして、テントを中心に状況に応じたテントサイトをレイアウトすることが大切です。特に、区画がないフリーサイトといわれるキャンプ場やキャンプ場以外の場所にテントを張る場合、テントサイトのレイアウトは安全・快適に過ごすために最も重要です。
しかし、初心者が道具を揃えていざキャンプをはじめると、最初につまずくのがこのテントサイトのレイアウトです。テントの組み立て方は説明書や動画をみれば理解できますが、肝心のテントをどこに立て、どのようにテントサイトをレイアウトすればよいのかわからない方も多いのではないでしょうか?
そこで、今回はテントがスムーズかつ正しく立てられるように、また、快適なテントサイトがレイアウトできるように、テントを立てる場所の選び方、テントサイトのレイアウトやつくり方、さらにテントサイトをレイアウトするのに気を付けるポイントなどについて詳しく解説します。
記事本編
テントサイトの基本的なつくり方
テントサイトのレイアウトは、道具や配置にこだわり、おしゃれで快適な空間をつくりたいものです。そのためには、最初に条件の良い安全な場所に正しくテントを組み立て、そして、テントを中心に状況に応じたテントサイトをレイアウトすることが大切です。ここでは、
安全で快適なテントサイトの基本的なつくり方を解説します。まず、テントサイトの基本的なつくり方の手順(フロー)は、以下の通りです。
■ テントサイトの基本的なつくり方
- テントを立てる場所を選ぶ
- テントサイトのレイアウトを決める
- テントサイトを整地する
- テントやタープを張る
- テントサイトをレイアウトする
テントを立てる場所の選び方
キャンプ場に着いたら、まずはテントを立てる場所を選び、状況に応じたテントサイトのレイアウトを決めてテントを立てる!というのが、基本的な流れになります。キャンプで安全・快適に過ごすためには、この場所選びが最も重要といっても過言ではありません。
テントを立てる場所はテントサイトのレイアウトの中心になるため、地面が平らになっていて水はけの良い安全な場所を選びます。浸水する恐れがある場所、木々が無く直射日光がよけられない場所や突風が吹くような場所は危険なので避けましょう。特に、川の中州は大雨やそれに伴うダムの放水で水量が急激に増加する危険があるため、絶対に避けましょう!
また、快適に過ごすために、人の往来や騒音、トイレや炊事場のにおいなどが気になる不快な場所も避けるようにしましょう。フリーサイトのキャンプ場の場合、場所選びは先着順(到着順)であることが多いため、早めに現地へ到着して条件の良い場所を取るようにしましょう。
テントサイトのレイアウトの決め方
テントを立てる場所が決まったら、次はテントサイトのレイアウトを考えます。まず、地形、隣のテントサイトとの距離や向きなど周囲の状況と、その時の天候に合わせて最適なレイアウトを考えます。この時、キャンプでは調理やアクティビティなどでテントサイト内での移動が多いため、動きやすい配置(動線)を意識することが大切です。
タープがある場合、タープがテントサイト内の活動拠点の中心となるため、タープを中心にテントや道具の配置を考えるようにします。また、レイアウトを決める上で重要なのが、テントやタープと焚き火をする場所(調理する場所)の距離です。焚き火をする場所がテントやタープ、また周囲の茂みなどに近すぎると、火の粉で天幕に穴が開いたり燃えたりして、最悪は火災につながる恐れがあるため危険です。焚き火をする場所はテントやタープからできるだけ離しておき、周囲に燃えやすいものが無いか確認しましょう。
また、車の乗り入れが可能なキャンプ場の場合、車は荷物の積み下ろしがしやすい場所に駐車するとテントサイトをつくるのが楽です。さらに、車は隣のテントサイトとの目隠しや風よけにできるため便利です。
テントサイトの基本的なレイアウト
テントサイトのレイアウトについて、基本的な例と悪い例を参考に解説します。まず、良い例の方では、テントサイト内の動線が短く、ふさがれていないため、移動がしやすい快適なレイアウトになっています。また、テントと焚き火をする場所(調理する場所)が十分に離れているので安全です。しかし、悪い例の方では、テントサイト内の動線が悪く、移動がしにくいレイアウトになっています。さらに、テントと焚き火をする場所の距離も近いだけでなく、焚き火をする場所の周囲に茂みなどの燃えやすいものがあるため危険です。
■ 良い例のレイアウト
- テントの出入口をタープに向けて移動しやすい
- テントやタープと焚き火をする場所が離れている
- 焚き火をする場所の近くに燃えやすいものが無い
■ 悪い例のレイアウト
- テントの出入口とタープの位置が悪く移動しにくい
- テントやタープと焚き火をする場所が近すぎて危険
- 焚き火をする場所の近くに燃えやすいものが有る
風が強い場合のテントサイトのレイアウト
キャンプ場で風が吹いている場合、テント内に砂やほこりが吹き込んだり、テントが風で飛ばされたりしないように、テントの出入口を風下に向けます。テントやタープはペグやロープで地面にしっかりと固定し、また、タープは高さが調節できるのであれば低くしておきます。車の乗り入れが可能なキャンプ場の場合、車を壁にして風よけに利用することができます。焚き火をする場所(調理する場所)は、隣のテントサイトへ煙が流れないように風向きを考えましょう。トラブルや迷惑をかけないためにも、周囲への配慮は大切です。また、茂みなど燃えやすいものの方に火の粉が飛ばないように安全に注意し、風が強い場合には危険なので焚き火を控えましょう。
■ 風が強い場合のレイアウト
- テントの出入口を風下に向ける
- テントやタープを地面にしっかりと固定する
- タープの高さを調節する
- 車を壁にして風よけに利用する
- 火の粉や煙の流れる向きに配慮する
- 風が強い場合、焚き火は控える
Point!火の取り扱いのルールとマナー
近年、癒しを求めて焚き火がブームになっていますが、慣れない直火の取り扱いやマナー違反などによって火災や自然破壊につながるケースが頻発し、大きな問題になっています。キャンプ場によっては、焚き火の禁止区域が設けられていたり、焚き火自体が禁止されていたりすることもあります。火の取り扱いには十分に注意し、自然環境に配慮して最低限のマナーやルールを守りましょう。
隣のテントサイトが近い場合のレイアウト
隣のテントサイトとの距離が近い場合、生活音・騒音対策やプライバシーの確保のためにテントの位置を隣となるべく離して距離を取り、テントの出入口を隣へ向けないようにして視線を外します。車の乗り入れが可能なキャンプ場の場合、車を壁にして目隠しに利用することができます。隣のテントサイトとの距離が近い場合は、車のエンジンや騒音、焚き火の火の粉や煙が隣に流れないように、お互いにできるだけ配慮することが大切です。
■ 隣が近い場合のレイアウト
- テントの位置を隣となるべく離す
- テントの出入口を隣へ向けない
- 車を壁にして目隠しに利用する
- 火の粉や煙の流れる向きに配慮する
テントの基本的な立て方(手順)
ここでは、テントの基本的な立て方(組み立てる時の手順)を解説します。なお、テントの具体的な組み立て方については、テントの種類や構造によってさまざまですが、付属の説明書やYouTubeなどで説明動画が豊富にあるため、そちらをご覧ください。(_ _)
■ テントの基本的な立て方(手順)
- 隣のテントサイトへの挨拶(周囲への配慮)
- テントサイトの場所の整地
- テントやタープを立てる
- 暗くなる前に照明を準備する
- 寝室や調理場(キッチン)をつくる
- 荷物の整理や調理の準備など
Point!テントの組み立て方の練習
初心者がキャンプ場でいきなりテントを組み立てようとしても、スムーズにいかないことが多くあります。例えば、キャンプ場への到着時間が予定よりオーバーしてしまい、日が落ちて手元が暗くなっている場合があるかもしれません。キャンプ場では風が吹いていたり、雨が降っていたりするかもしれません。そういった悪条件の中でも、スムーズにテントを組み立てることができるように、テントの組み立て方を練習しておくことが大切です。テントの組み立て方の説明書が手元に無くても、テントの組み立て方ができるように、組み立て方を身に付けて事前にしっかりと準備しておきましょう。
① お隣への挨拶(周囲への配慮)
テントサイトの場所が決まったら、まずは隣のテントサイトへ挨拶をしておきましょう。キャンプを快適に過ごすためには、周囲への配慮は欠かせません。キャンプではお互いにできるだけ配慮し合い、トラブルや迷惑を避けて楽しい時間を過ごしましょう。
② テントサイトの場所の整地
フリーサイトのキャンプ場の場合、整地されていないことが多いため、まずはテントサイトの場所の地面に落ちている石や枝を取り除き、凸凹(でこぼこ)しているところを平らにならします。この時、取り除いた石や枝は周囲の迷惑にならないところに置きましょう。
③ テントやタープを立てる
テントサイトの場所の整地ができたら、次にテントやタープを立てます。テントサイト内の動線を意識し、移動しやすいようにテントやタープを配置することが大切です。タープがある場合は、先にタープから立てておきます。タープを立てるには広いスペースが必要なため、テントを立てた後では作業がしづらくなってしまいます。また、タープを先に立てて中に荷物を置いておけば、急に天候が悪化して雨が降っても慌てることがないため安心です。テントが立てられたら、テント内にシュラフなどを広げて内部を整え、そちらへ荷物を移動します。テントの組み立て方はテントの種類や構造によってさまざまですが、テントの立て方(手順)やテントサイトのレイアウトは同じであるため、初心者でも基本さえ知っていれば安心です。
④ 暗くなる前に照明を準備する
暗くなる前に早めに照明を準備します。暗くなってから慌てて照明を探さなくていいように、早めに準備しておくことが大切です。照明は明るさの異なるものを数個用意しておき、一番明るい照明をテントやタープから少し離れた位置に設置して、テントサイトの内部へ虫が寄ってこないようにします。また、故障やいざという時に備えて、照明は予備を持って行くようにすると安心です。
⑤寝室や調理場(キッチン)などをつくる
寝具や調理用具などの道具類を取り出し、寝室や調理場(キッチン)をつくります。その他にも、テーブルやチェア、クーラーボックスなどを配置し、テントサイトを快適な空間へ整えていきます。この時、道具の使いやすさや、テントサイト内の動きやすさ(動線)を意識し、それぞれの道具類が移動の邪魔にならないように配置しましょう。
⑥荷物の整理や調理の準備など
これでテントサイトが完成です!慣れないうちはテントサイトをつくるだけで疲れてしまいますが、これで安心して快適に過ごすことができます。しかし、キャンプはこれで終わりではありません。これからが本番です。テントサイトができたら、この後の食事やアクティビティの準備、荷物の整理などなど・・・やることは山積みです。また、突然のケガやトラブルにも備えておかなければなりません。テントサイトが完成したら、荷物の不足や再度、周囲に危険な場所が無いか確認しましょう。この時、買い足しができる売店や最寄りのお店、緊急時の病院なども確認しておくと、いざという時に役に立ちます。
この記事のまとめ
今回は、テントがスムーズかつ正しく立てられるように、また、快適なテントサイトがレイアウトできるように、テントを立てる場所の選び方、テントサイトのレイアウトやつくり方、さらにテントサイトをレイアウトするのに気を付けるポイントなどについて解説しました。
テントの組み立て方はテントの種類や構造によってさまざまですが、テントサイトのレイアウトは変わらないため、基本さえ知っていれば初心者でも安心です。キャンプを安全で快適に過ごすために、周囲や自然環境に配慮して最低限のマナーやルールを守りましょう。そして、自然の中で思い思いの時間を過ごしたり、大切な人とのかけがえのない時間を過ごしたりして、自然の中での非日常を大いに満喫してください。